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朝まで オレ マシュマロ ふわふわで地球上(good morning/エレファントカシマシ)

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寒さや疲れで続々と叢に倒れるものが増えていく丑三つ時のBOHEMIAN GARDEN。
死屍累々の中、ともすると悪夢にうなされそうな濃い目の夜の弾き語りが今年も行われた。

向井秀徳にとっては昨年の七尾旅人とのセッションに続いて2年連続となるこの試み。
今回のパートナーはかつてから親交のあるeastern youthからoutside yoshinoこと吉野寿。
吉野氏は北海道は帯広市出身ということもあり、ほぼホームと言ってもいいだろう。
リハーサルからリラックスした様子でファンとの対話を楽しむ姿は、照明の効果もあってどこか不気味だ。

演奏間のMCでのこぼれ話によると、このテレコ式の弾き語りスタイルはそもそものルーツを
吉野氏との企画(というよりは酒の勢いに助けられた思いつき)に持つとのことで、
かつては新宿LOFTを会場にして当日告知で開催し、たった2人(!)の聴衆に向かって
向井秀徳が"delayed brain"を熱唱するという奇跡のシーンもあったとか。

さて、そんな二人のこの夜の共演。
向井秀徳は大きな舞台を数多くこなしてきたこともあってか、アレンジも含めて洗練されたパフォーマンス。
「お決まり」も含めて演出としてしっかりと昇華されて安定感がある。
一方の吉野寿は、ギター一本で真っ向から単独行を挑む荒々しい怪演っぷり。
血管が切れてしまいそうなほどに魂を絞り出す歌声は、
バンドではない分一層生々しくダイレクトに響いてくる。これはなかなかの衝撃だった。

ラストはeastern youthの"細やかな願い"を二人で演奏。
昨年とはまた違ったミックス・アップを観ることが出来たので、是非恒例企画として続けて欲しい。
(余談だが、吉野寿が「向井くんのようなマトモな人」と言っていたのが恐ろしい。)

さて、楽しい宴も終わりが間近。
テントサイトに帰還して最後の荷造りを進める。



初めてのテント撤収に手惑いつつもなんとか作業を完了し、
会場を大横断してSUN STAGEへと向かう。(痛感したが、FORESTはこれが辛いのだ。)

近づいていくと聞こえてくるのは、宮本浩次のあの声。
白みだした空の下、ステージに立っているのは大トリのエレファントカシマシだ。
駆け足で"悲しみの果て"から合流し、今年のRSR最後のアクトを堪能することにする。

乱れた長髪の隙間から射抜くような目つきで客席を睨みつけ、
フラつくようにステージを動き回る宮本浩次の姿は危うさも含めて完全なロックスター。
かと思えば、一転してMCではどこか抜けた一面を見せ、笑い声も漏れる。
半ば伝説として語り継がれている数々のエピソードからもわかるように、
人格に問題ありなのだろうが、そこも含めてある種のエンターテイメントなのだろう。

デビューから25年を数えようという彼らだが、最新作からの楽曲も好調。
全霊を込めた歌声が健在を印象付ける"我が祈り"は、底から突き上げてくるエネルギーがある。
一転して弾き語りで披露された"七色の虹の橋"は優しく心に寄り添い、
"世界伝統のマスター馬鹿"で見せてくれたのは良い意味で変わらない往年の存在感。

そして、この日のハイライトとなったのは、なんと言っても"ガストロンジャー"。
元々、まくし立てるような口調で心情をぶちまける好戦的なナンバーだが、
ライブならではのアドリブを交えつつ観客へのメッセージを越えた説教が止まらない。
極めつけは高緑成治に難癖をつけベースを奪い取るブチ切れパフォーマンス。
これにはどよめきと歓声が入り混じった反応で、色々な意味で面目躍如と言ったところではないだろうか。
アンコールで"俺たちの明日"が演奏され、2012年のRSRは幕を下ろした。



ということで、前6回に及んだレポートの完結と共に今年のRSRも終了。
アクト以外の部分にも思う点や書き留めるべき点はありつつも、一旦これにて一区切りとしたいと思います。
by taku_yoshioka | 2012-08-28 00:32 | music

Ok, it's the stylish century


by takuyoshioka