クラブナイトへおいでよ ジントニックで踊ろうよ(クラブナイト/andymori)
明確に過渡期、もしくは次のステージへの歩みを感じさせる4th。
後藤大樹の脱退により体制が変化した前作も変化の萌芽を感じさせつつはあったが、
余熱と2度目の初期衝動を燃料にして、それまでの路線を保ちながらの緩やかなシフトに留まっていた。
しかし、本作は違う。表題曲"光"を軸にしたコンセプチュアルな一作であるということを考慮しても、
「変わった」という印象が強く残る。
弾き語りを披露する場を重ねてきたこともあってか、小山田壮平の歌はフォーキーな側面が押し出された。
そのヴォーカルは録り直しによる発売延期も納得の出来栄えで、繊細で丁寧。
自分の身辺の大切な人(々)へ向けたシンプルで優しい歌詞にも助けられ、
柔らかく優しいムードが包み込むような一作となっている。
そして、この優しさこそが本作のポイントであり、変化を端的に現すキーワードなのである。
デビュー当時〜2ndまでのandymoriの楽曲には、行き急ぐようなメロディーと、
それについていくことが出来ない舌足らずな歌、
しかしだからこそ端々で光っている青臭く刺々しい言葉が詰まっていた。
陳腐ながらも言ってしまえば、いかにもな「ロックの初期衝動」に溢れていたのだ。
さて、核心に入ろう。良いか悪いかは現時点では明言はしないが、
今のバンドからは先述のようなエネルギーはない。
世界の矛盾や欺瞞に毒を吐く危うさもない。
意地悪なリスナーであれば、こんな楽曲はandymoriでやる必要がないだとか、
もしくはまだ20代のうちに手をつけるようなスタイルではないだとか、
心の中で出来ていた理想像とのギャップを好き勝手に言うことだろう。
自分も一人のファンとして違和感を覚えるところではあるが、
変革の時期に立ち会っていることを感じつつ次のアクションを見守りたいと思う。
最後に、個人的なベスト・チューンは"クラブナイト"。
それまでの流れを断ち切るように唐突に入り込むドラムのリズムと、
ファンファンのトランペットが生み出す高揚感。
そして、どこか寂しく弱気な印象を残すメロディーと歌詞は、小山田壮平の真骨頂と言えるだろう。
by taku_yoshioka
| 2012-07-29 11:37
| music