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giant steps

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絵を描くことを生業とする漫画家の中でも、
特にその画力に人気・定評のある大友克洋の原画が見られるとあって、
開催前から大いに話題となっていた本企画。

目玉は、なんと言っても"AKIRA"の全原稿の展示。
ファンならば数枚であろうと垂涎の生原稿を、
最初から最後まで一コマたりとも逃さず見られる機会を僥倖と言わずして何と言おうか。
もちろん、漫画原画の展示としては異例のスタイルだ。

実際に全ページの原稿を見てみると、やはり凄い。
陳腐極まりない感想だが、いざ目の当たりにするとそう言うほかない。
一枚一枚の細部に至るまで書き込まれたGペンの筆致は、染み込んだインクは、
そのまま大友克洋の魂の痕跡と言っていい。

ガラスケースの中に並べられた数百枚の原稿は、どこにあるどこの部分を見てみても、
その全てが超ハイクオリティで手抜かり一切なし。素晴らしくもあり、恐ろしくもある。
「見る展示」であり「考える展示」ではあるが、何よりも「感じる展示」だった。
これも、全原稿の展示という形式だからこそ。

また、"AKIRA"以外の原稿もバラエティーに富んだ展示で、
漫画だけに限らず様々なフィールドで発表された作品をラインナップ。
特に、扉絵や広告ビジュアルには遊び心とアーティスト性が溢れており、
シュールでコミカルな作風は、世界に認められたクールさとはまた異なった大友画の魅力だと思う。

最後になるが、今回の展示はメインビジュアルの出来にも改めて注目したい。
コラージュアーティストの河村康輔氏による作品なのだが、
見事に大友漫画の世界観を凝縮することに成功している。
カラー原稿もいいが、やはりモノクロ原稿の書き込みに訴求力のある大友画なので、
出来ることならモノクロの強い画をメインに使いたい。
とはいえ、1枚画や数枚の組み合わせではここまでの雰囲気は出ない。
やはり、精魂込めたコラージュはベストな選択だったのだ。天晴。
by taku_yoshioka | 2012-05-16 22:32 | musium

Ok, it's the stylish century


by takuyoshioka