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お別れの時 怖れはしない 必ずまた逢えると信じて(お別れの時/二階堂和美)

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"にじみ"のリリースまでのインタビューやエッセイを収録した、二階堂和美初の単行本。
ライブ会場と一部店舗での限定1000部販売。

アルバム制作の裏話を始めとした音楽の話はもちろん、
浄土真宗本願寺派の僧侶でもある彼女が持つ独特の仏教への思いや、
祝島でのエピソードに端を発する上関を始めとした原発についての考えなど、語られている内容は様々。
その結果、単なるミュージシャンとしてだけではなく、
二階堂和美という一人の人間の生き様や価値観に触れることの出来るものとなっている。

その中から音楽についての話で印象に残った部分を掻い摘んで紹介すると、
最新作から演歌の要素を意図的に取り入れた明確な「戦略」や、
歌の中での言葉の使い方(どう聴こえるかの意識)などがあったことは記しておきたい。
本能的・感覚的な人間のようにも見える彼女だが、
その実かなり思慮深いクリエーターであることが自身の口から語られているのは貴重な記録だ。
(奔放な印象でありながらも、悩み多き歌い手であるというのも
パブリックイメージとの乖離がある部分か)。

巻末の書下ろしを除き、全て雑誌やwebで一度発表された記事ではあるが、
先述したようにまとめて読むことで彼女の考えを俯瞰的に知ることが出来るというのは大きく、
"にじみ"をより楽しむ副読本としても、価値のある一冊だと思う。
by taku_yoshioka | 2012-02-08 23:59 | book

Ok, it's the stylish century


by takuyoshioka