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オープン時から、いや、開設決定時から楽しみにしていた
藤子・F・不二雄ミュージアムに行ってきた。

最寄り駅から乗ることの出来るシャトルバスは絵柄が4種類あり、
待っている間にボディを見ているだけでも楽しい。
結局"キテレツ大百科"をメインモチーフにしたバスでミュージアムへ。
ブザーからつり革までコロ助だらけで気分は高揚。

入場時には、音声ガイド「おはなしデンワ」が全員に貸与される。
これは地味ながらも良いサービス。
全員配布を前提に館内展示がデザインされていたのも良かった。
ガイドの番号を探しながら進んでいくので、緊張感も程よくキープされるし、
音声ガイドのみで語られる情報もあるので、これから行く人は聴き逃しなく。
(子供用のガイドにはクイズもあるらしい…!)

展示室1には様々な作品の原画や、漫画制作の工程を紹介する立体2Dアニメ、
作品の世界観を再現したグッズを収容したディスプレイなどが並ぶ。
当然ながらディスプレイの中身はこのミュージアムのために作られたオリジナルものばかりで、
パーマンのマスクやエスパー真美のブローチといった
広く知られている作中の重要アイテムから、
ジャイアンが珍しくのび太に貸してくれた本である「けんか読本」や
紛失騒ぎが起きたドロンパの星といったマニアックな一品まで、
作品についての知識の多少に関わらず楽しめる作りこみ方。

また、資料の一つとして展示されていた藤子プロのオリジナル原稿用紙も面白い一品で、
天地と左右にコマ割の線のガイド付き。
斜め線を使わないスタンダードな8分割を基本にコマ割をしていたことがわかる。

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年表とともに藤子・F・不二雄の足跡を辿るヒストリーゾーンを通り抜けると、
ミュージアムの目玉の一つである「先生の部屋」に到着。
エリア自体は小さいながらも、生前の仕事部屋を再現した展示はオーラがある。
ここには、氏の想像力の源となった書籍類が数多く収容されており、
上へ上へと天に伸びていくような設えの本棚は、
そのまま藤子・F・不二雄のイマジネーションの広がりを現しているかのようだった。

先へと進み、様々な作品の第1話原画が中心の展示室2へ。
読んだことのある話もあるのだが、ついつい全部読んでしまう。
ここで読んでみて面白かった作品は後のまんがコーナーで続きを読むことが出来るし、
手元に置いておきたければミュージアムショップで買うこともできる。
全くもってズルいシステム。

展示コーナーの最後にあるのは、父親としての一面を知ることの出来る品の数々。
お手製の人形劇やサンタポストからは、娘達への愛情が溢れていた。
そして、結婚前に奥さんに送った手紙と、死後に奥さんから贈られた言葉が胸を打つ。
このタイミングで、一つでもいいから子供たちの心に一生残る作品を描きたいと望んでいたこと、
そしてそれを一生の夢として奥さんに告げて創作に明け暮れていたことを明かされると、
延々と見てきた名作の数の膨大さを思い出すともに、
果たした夢の途方の無さにこみ上げるものがあった。
また、漫画家としての功績を後世に残すべく建てられたミュージアムの展示が、
家族と過ごした一人の人間としてのコーナーで終わるのは意義深い。
そう、ここまで見てきた全ての作品も、家族があってこそなのだ。

シアターで上映していたキャラクター総出演の短編作品は、声優も作品のテンションも
自分が慣れ親しんでいた頃のアニメとは違ってしまっていることもあって、
相容れない部分もありはしたし、認められないとも感じた。
なんとなく、藤子不二雄の手を離れすぎてしまっている気がしていたし、
もっといえば故人の遺産の濫用だとすら思っていた。
しかし、ドラえもんやパーマンが繰り広げるドタバタ劇に
屈託なく笑い声を上げる子供たちを見ると、
まだまだなくてはならない作品で、いなくてはならないキャラクターなんだなと思うに至った。

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と、各所をしっかりと見ながら、カフェに辿り着くまでに要した時間は約3時間。
120待ち(!)となっていたカフェには並ぶ気すらも起きず、
ドラえもんの顔入りのドラ焼きをテイクアウト。
「はらっぱ」で記念撮影を済ませ、おみやげを購入してミュージアムを後にしたのでした。

まだまだ人気でチケットを購入してもすぐには行けない状態ではあるけれども、
入館料も安いし、良い意味で敷居も低いので、
コアなマニアからライトなファンまで、楽しめる場所だと思います。
by taku_yoshioka | 2011-12-07 00:11 | musium

Ok, it's the stylish century


by takuyoshioka