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裸族になれば優しくなれるのかもね 僕らの街は親馬鹿ばかりの街(裸族/モーモールルギャバン)

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京都が生んだひねくれポップ3人組のメジャーデビュー作。
バンド名の「ギャバン」の響きやサウンドから、
「アバンギャルド」というワードを連想してしまうのは私だけだろうか。
(ちなみに、本当の元ネタは"宇宙刑事ギャバン"らしいです。)
ギターレスのトリオ編成はモダンジャズの基本的な組み合わせだけれど、
楽曲にはそういう意味でのジャジーさは現れていないかな。

歌詞も楽曲も変態的なミックス感覚で、狂気も垣間見える程。
音作りに関して細かいところだと、
キーボードがSOUL的なフレーズを時折織り交ぜてくるのがツボだったりする。

とはいえ、イカれた歌詞を優しく歌うギャップから生まれる狂気の演出自体は
正直ありふれていて、このバンドの魅力や本質は
そのフリーキーさ(だけ)には無さそうな気がしている。
というか、壊れたフリをしているだけで
本当は、純粋で、青臭くて、真っ直ぐなだけなんじゃないだろうか。
中二病罹患者が、中二病であることを自覚しながらも
隠すことのない潔さがエネルギッシュに溢れ出しているようで。

"ユキちゃんの遺伝子"で、好きだった子が結婚して子供が生まれたら、
今度はその子供(もちろんまだ赤ん坊)を好きになってしまうのも真っ直ぐさの表れ。
一瞬ドキッとするけれど、意外と変態度数は低い。
恋人を遺伝子レベルで愛してしまうというのはRAD WIMPSの野田も歌っているテーマで、
愛情を突き詰めるとその対象を構成している要素に行き着くらしい(なんのこっちゃ)。

明るい雰囲気の楽曲とは裏腹にシニカルな歌詞の"裸族"では、
「僕らは独りで泣く時 裸だ」と悲哀をのぞかせる。
もちろんここで言う「裸」は観念的なものであって、
様々な虚飾が取り払われた素の状態を指しているのでしょう。
(こうして偉そうに解説しているあたり、中二病が感染ってきているのは間違いない。)

青年男子の憂鬱な思いが溢れる"悲しみは地下鉄で"は名バラッド。
日常に落ち込み「死ねばいい」と言うこの歌の主人公は、結局死なないだろう。
そんな勇気もないのにポーズとして「死」を口にする青臭さ、未成熟さ、危うさ。
やっぱり重症だ。

"パンティー泥棒の唄"も変態っぽくて、その実ものすごくピュア。
この歌に込められたのは好きなものを「好きなんだ!」と叫べる強い気持ちだと思う。
また、最後まで聴けば"クロなら結構です"という一見意味不明なタイトルにも
オチがしっかりついていることがわかり、ニヤリとしながら余韻を楽しめる。

という感じで、歌の入ってる全曲の感想を書いてしまった。
それだけ濃密だ、と言うことが言いたいわけでもなんでもなく、
自分の心に残っていた青臭い部分がくすぐられた衝動に任せて
一気呵成に書き残した次第です。
by taku_yoshioka | 2011-07-02 23:59 | music

Ok, it's the stylish century


by takuyoshioka