タグ:本秀康 ( 5 ) タグの人気記事

happy life

e0191371_047266.jpg

1998年に発表された同名の作品集から数編の差し替えを行った「完全版」。
入手困難な限定本"たのしい人生 Rarities"からの収録もあるのが嬉しいところ。

ガロに掲載されたデビュー作("パーティ大好き")を含めた最初期の作品では、
現在の代名詞ともいえる可愛らしいタッチはまだ見られず、
その代わりに如何にもアングラ〜サブカルな歪みを含んだ仄暗さが目立つ。

"かわいい仲間"はキュート路線のタッチを逆手にとるような亜流メタ要素を持っており、
ラスト一コマで急転直下し最高潮に達する狂気の演出は、
キャラクターの可愛さと本秀康自身の精神性の乖離の表れか。
(後に、しっかりとギャップとして消化できている部分ではあるのだが。)
そういった意味では"かわいいハシヅメくん"も似たようなテーマを内包しており、
可愛さの正義を笑いの種にしながら批判している短編となっている。

個人的に最大のインパクトを受けたのが"お金を見つけた"で、
詳細は記さないがビジュアルとしての強烈なブッ飛び方と、
それでいて根本の心の動きの「あるある」感の同居が見事。
[PR]
by taku_yoshioka | 2012-11-11 00:47 | comic

まるで翼のように そして包むように(冬の翼/スネオヘアー)



本秀康の短編作品"アーノルド"をアニメ化したPV。
若干の編集は加えられてはいるものの、ほぼ原作に忠実な出来。
よって、先に原作を読みたいという方は観ないでおくのが吉かと。

肝心のスネオヘアーの楽曲はBGM程度にしか流れないという、
「プロモーション」としてはかなり挑戦的なバランスとなっているのだが、
だからこそ印象に残るという面もあるところが絶妙。
(それこそ、映像作品中のBGMが気になってしまうのと同様の効果。)



立ち竦む白く光る足元
うなだれた肩に積もる雪が
まるで翼のように
そして包むように

予報は天気だけじゃなく
小さな始まりさえもはずして
切なさを紛らわす
零れ落ちる言葉で
くすんで見える風景
寒さに気持ちを重ねても
ため息の色

君は当たり前のように頷きと
あるいは待っている
それには及ばない
答えようとしてる声になってない

何処までも続く白い道
立ち並ぶ街灯が照らしてる
オレンジ混じりの灯りが
影を包むように

まつげに咲いた冬の花
見慣れた景色が違って見えるよに
切なさを紛らわす
零れ落ちる言葉で
くすんで見える風景
鼻の先の冷たさが
何か心地よくって

ドアを開けざまに小さな灯りから
僕らを繋いでる瞬間
あても無く出した足を
意識しないでゆっくり踏み出せば

寒さに気持ちを重ねても
ため息の色

だらしないシャツと美しい名前と
背中で見つめ合う
君にもわかるかな

君は当たり前
頷きを待っている
そう小さな驚きと
開けざまに繋いでる

君は当たり前
[PR]
by taku_yoshioka | 2012-10-24 00:25 | music

I really want to know you(My Sweet Lord/George Harrison)

e0191371_031117.jpg

表題作を含む7編(+あとがき+α)からなる短編集。
全てが同時期に描かれた訳ではなく、タッチにはばらつきがある。

所謂ハッピーエンドのうちに終わる話は少なく、
それでいてその不条理さを肯定して突きつける幕切れが何とも言えない余韻。
その最たるエピソードが"君のともだち・木星編"で、
少年漫画的な改心はなく、もはや性善説を唱えることは出来なくなるだろう。

最も多くのページが割かれている"アーノルド"もヘビーな話。
飛行機に乗る青年と巨人を中心に据えた構造は、
後の"ワイルド・マウンテン"にも繋がっているような印象もあり、
「正しさ」とは何なのかについて問いかけている。
(思えば、大きいだけで恐れられたり利用されたりすることの多い巨人達は、
この世に生を受けながらにして悲しい境遇にある。)

また、1話目の"終わりなき20世紀"に始まるこの一冊だが、
「逆再生」方式の"ENDLESS 20th Century"で締められると言う仕掛けも。
[PR]
by taku_yoshioka | 2012-10-22 00:03 | comic

It's certainly a thrill.(Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band/The Beatles)

e0191371_0343231.jpg

いかにも誤解を招きそうな書名がついているが、
本秀康という架空の漫画家が手がけた作品を
本人が言うところの「サージェント式」によってまとめた、
という設定を持つコンセプトアルバム的な単行本。

実際の本秀康氏とはだいぶ異なるルックスの漫画家「本秀康」が
狂言回しとしてナビゲートする緩めのメタ構造によって連なる短編は、
突飛でシュールなギャグと、ときに切なくときに暖かいストーリーが入り混じるお得意の構成。
そこに適量のブラックなエッセンスを加えれば、本秀康節の出来上がりだ。
(もはや、この「本秀康」がどちらを指していても構わないし差し支えない。)

ミステリーにおける双子の入れ替わりトリックをモチーフにしたような"セッちゃんの幸せ"や、
後味の悪さとが"世にも奇妙な物語"を思い起こさせる"若葉のころ"、
往年のロボットものならではの終わり方を取り入れた"あふれる愛"など、
幅広くも良い意味でスタンダードな魅力を持った各話は安心のクオリティ。

結果的に、ベスト盤とは言わないまでも本秀康の入門編として申し分のない出来に。
[PR]
by taku_yoshioka | 2012-10-02 00:37 | comic

Singing Songs That I Thought Were Mine Alone(Man We Was Lonely/Paul McCartney)

e0191371_2345781.jpg

端的に表現するなら、大人の「少年漫画」とでも言おうか。
そして、この"ワイルドマウンテン"は最高の少年漫画なのである。

何より驚くべきは、精緻に作りこまれたストーリー。
ほのぼのとしたルックスのキャラクターが1話完結の物語を織り成す日常系のナンセンスギャグ漫画かと思いきや、
話が進むに連れてときにリリカルに、ときにドラマチックにと、物語はうねりを見せる。
ラブコメからバトル漫画さながらの一大活劇までも飲み込みながらも隠された謎が紐解かれ、
最終的にはミステリーさながらの綿密なプロットによる衝撃のラスト。
一見、無軌道的にも感じられる場面や展開も全て予定されていた出来事で、
隅々まで丹念に練りこまれたディティールが符合していきパーフェクトな結実に至るのである。
(2回目を読むと、細部に仕込まれていた仕掛けの多さとさりげなさに驚愕。)
このあたりは、最終巻にミステリー作家の綾辻行人と法月綸太郎の両氏が
コメントを寄せているという事実からも推して知るべし、といったところか。
どこか突き放されたような忘我感まで含めて、これだけの「後遺症」を与えてくれる話はなかなかない。

舞台となるのは、東京都は中野区のワイルドマウンテン町。
地球そのものを破壊する恐れすらあった巨大隕石の飛来により、
突如出来てしまった山そのものが一つの町となったというなんともトンデモな設定だ。

そんな町の初の町長を務めるのが、地球防衛軍の元隊長である菅菅彦(すがすがひこ)。
この男が全ての少年のエゴや理想を具現化したようなキャラクターで、
元・地球防衛軍らしく運動神経は抜群で腕っ節も強い射撃の名手。
それでいて、思いつきでロボット開発の草案を作れてしまうほどに頭脳明晰でもあり、
男女問わず隊員からは羨望の的、幹部からの信頼も厚いというスーパーな男なのだ。
しかし、一方でその精神性には少なからぬ問題も抱えており、
つかなくてもいい嘘をついてみたり、妄想の中で戯れてみたり、立派なダメ野郎でもある。
ただ、この2面性にこそたまらない愛らしさがあり、素直さや根底に流れるピュアさを感じずにはいられない。
(モテるんだよな、こういうやつが。)

加えて、脇を固めるサブキャラクターも魅力的な面々が揃う。
本秀康の独特のタッチで描かれる町民や地球防衛軍の隊員達は、
その可愛らしい見た目とは裏腹に心に影を隠している者ばかり。
そして、それは敵役においても同様で、絶対的な悪といえる役どころの人物は登場せず、
結果的に絶対的な正義も存在しないことを示唆しているかのようでもある。

本作の第1巻の帯において、作者の本秀康は「最高傑作」と大風呂敷を広げて見せた。
当時のその思いがどれほどシリアスなものであったかは知る由もないが、
果たして、素晴らしい作品になったことは間違いない。

名場面に名台詞、名キャラクターに溢れた名作。
[PR]
by taku_yoshioka | 2012-09-16 02:35 | comic

Ok, it's the stylish century


by takuyoshioka

プロフィールを見る

カテゴリ

全体
music
comic
book
gear
goods
musium
sports
movie
game
web
design
words
未分類

以前の記事

2014年 05月
2013年 12月
2013年 09月
more...