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new government~past

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昨年、新政府を立ち上げて、自ら初代内閣総理大臣に就任した坂口恭平の
活動と作品の一端を知ることが出来る「新政府展」が表参道のワタリウム美術館で開催中だ。
会期中に展示内容が切り替わる2部構成となっており、まずは12月7日(金)まで開催中の「過去編」へ。
会場ではまず1Fの受付で黄色いパスポートを入手して、エレベータで「入国」する。

2Fの展示スペースの入口近くには、早速坂口恭平の少年時代の勉強机の展示が。
彼が強く提唱する視点の切り換えと空間の再定義に関する思考のルーツとなったこの机を皮切りに、
新しい居住のあり方に関する研究の報告がこのフロアの大きな役割となる。
書籍などの情報だけでは想像に任せていた部分も、
坂口恭平自身の手に拠る大判のイラストレポートを見れば一目瞭然。
実際のモバイルハウスの中に入ることが出来ることも大きい。
また、壁面には「Dig-ital」シリーズも数点展示。
こちらは現代アートというフィルターを通した形で、居住空間の無限の広がりを見ることが出来る。

※モバイルハウスについて少し追記させて頂くと、
 あくまでも個人的な感想ではあるが想像以上に快適な空間だった。
 それは単なるフィジカルな居心地の良さだけではなく、精神面にも影響がある。
 一歩足を踏み入れた瞬間から、開き直りと気楽さが心の中に生まれるのが分かる。

3Fにはイラストで綴られた夢日記や雑誌用などの様々なカットがディスプレイ。
ここでは坂口恭平の「アーティスト」としての側面を見ることが出来、
大判のキャンバス画等こそないものの、メモ用紙サイズの紙に描かれた発想の断片集は、
氏のイマジネーションやインスピレーションを知る端緒として大いに役立つ。
また、各作品は一般的な額縁ではなく、廃棄されたドアや窓枠に貼り付けられている。
これも、単なるリサイクル的志向からの選択ではなく、視点を変えることによる再発見の促しだろう。

4Fに到着してエレベーターの扉が開くと、聴こえてくるのは坂口恭平の声。
この階には、YouTubeでも公開中の政権演説がループ投影されているのだ。
そして周りを取り囲む白い壁には一面びっしりとマインドマップが描かれ、
坂口恭平の頭の中に入り込んだような感覚。
これを見るにつけ、何らかのアクションを起こすに至った項目の輝きよりも、
思考の果てについには答えを導き出すことが出来ていない項目の多さこそが、
坂口恭平のバイタリティ(ひいては魅力)なのだと強く感じた。

このように、これまでの活動の成果が披露されたのが「過去編」であった。
言ってみれば書籍等で既に発表済みの内容でもある。
これを受けて、次のステージとして坂口恭平は何を見せてくれるのか。
「未来編」も是非見に行こうと思う。
by taku_yoshioka | 2012-11-29 00:32 | musium

Ok, it's the stylish century


by takuyoshioka