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ああ実に単純明快 鼻歌振りまいてただ歩めばいい(フェリチタ/EVISBEATS)

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7inchで先行リリースされた"いい時間"と"ゆれる"がスマッシュヒットする中、
待望のリリースとなったEVISBEATSの2ndアルバム。
前作以上に洗練されレイドバックした珠玉のビーツが、聴く者を極楽へと招き入れてくれる。

前作まで、一種のアンバランスさや不安定さが生み出す妙な引っかかりを音作りのポイントの一つとしていたが、
このアルバムでよりスタンダードで快楽的な方向に大きく舵を切った。これがとにかく気持ち良い。
特に、前半の一連の流れは素晴らしいの一言につき、
心と身体を委ねているうちに浄化されていくような快感すらある。

少年に語りかける形でメッセージを発信する"なんともまぁなんだかな"や、
芥川龍之介の"蜘蛛の糸"を題材として人の心の弱さに迫る"一本のロープ"は、
根底に優しさがあるからこその厳しさを強く感じる楽曲。
般若心境ラップに続く、説法ラップということも出来るかもしれない。
この3曲が全く別の書き手による作詞というのも驚きだし、
そもそも自身の作詞曲がたった1曲というラッパーのアルバムは異例だ。

そしてやはり白眉なのが"いい時間"と"ゆれる"の2曲。
本作全編に一貫している「快」のエッセンスが凝縮されたクラシックで、
いくらでもリピートして聴いていたくなるような、中毒性を越えた普遍性がある。
(言い方を換えると、この作品は先行シングルの気持ち良さを、
アルバムサイズで見事に表現しているということもできる。)

ここ数年でリリースされた日本語ラップ作品の中でも、随一の晴れた日に外で聴きたい一枚。
もはや、比較対象はBUDDHA BRANDやRIP SLYMEの"talkin'cheap"といった名作群という域まで来た。
by taku_yoshioka | 2012-07-21 01:31 | music

Ok, it's the stylish century


by takuyoshioka