人気ブログランキング | 話題のタグを見る

待ち合わせは高円寺 名前なんかない猫と行く(CITY LIGHTS/andymori)

待ち合わせは高円寺 名前なんかない猫と行く(CITY LIGHTS/andymori)_e0191371_028219.jpg

鮮烈なデビューとなった1巻があまりにも良かったので、
この後良くなる余地やテンションを保つ余裕はあるのかとすら思っていたが、その心配は杞憂に終わった。

むしろ、クオリティは上がっているといっていい。
ショートストーリーの紡ぎ手としての洗練度合いが尋常ではない。
コマ割から展開まで、手探りに近い状態ながらも才気を発していたファースト・ステージを終え、
一つの「型」に近いものを手に入れた段階が今だ。

そのポイントは、端的に言えばギャップの活用。それも、極めて有効かつ的確な。
不条理なギャグで大いに笑わせてくれたかと思えば、
クライマックスで突如としてトーンダウンして切ない一幕を見せる。
これが強烈に心に刺さる。圧倒される快感すらあると言ってもいい。
(その構成があまりにも巧すぎるせいで、かえって笑ってしまうのだが、
この時こぼれた笑いはまた違う種類の感動。)
これ程までに美しいラストシーンが次から次に出てくる短編集はそう出会えるものではない。

使い古された謳い文句を使うなら「笑いあり、涙あり」といったところか。
しかし、王道の作品のそれとは一味違う、新世代の質感とリアルさが"シティライツ"にはある。
登場人物のその後の人生を思わず考えてしまうのも、このリアリティがあるからこそだと思う、
(リエコ桜木さんも、新籾さんとは恋人ではなく親友になってしまったんだろうな、とか)。
by taku_yoshioka | 2012-06-29 00:31 | comic

Ok, it's the stylish century


by takuyoshioka