人気ブログランキング | 話題のタグを見る

sow the seeds

sow the seeds _e0191371_033489.jpg

一丸となり掴み取った優勝に沸いたのも束の間、物語は個人戦へ。

千早は団体戦の準決勝で負ったケガに苦しみながらも、
試合の中での気付きと機転で切り抜け(これもまた彼女の天賦の才)、
3回戦で早くもクイーンとの顔合わせ。

さあいよいよ…というところだが、あまりにもあっけなく千早の夏は終わりを告げる。
怪我もしているし、実力差を考えると納得の展開とは言え、
本作最大の見せ場となる対戦カードにして、割かれたページの少なさには驚くばかりだ。

だが、この潔さこそが間延びさせずに作品のリズムを保つには超重要なポイント。
読者にとっても、千早にとっても、そして作者である末次由紀にとっても、
緊迫の団体戦を終えての小休止といったところだろう。

そして、この大会での新との再会は、様々な面で物語に深みを与えていることを再確認。
これもひとえに、しっかりと種を蒔いておいたからに他ならない。

主にマンガにおいての話になるが、連載物が尻上がりに面白くなるためには、
序盤で仕込んでおいたネタや設定が一つの肝になる。
かの名作"SLAM DUNK"が名作たり得たのは、最後の山王戦あってこそだが、
この試合中で度々挿入された回想シーンや序盤の台詞とのクロスオーバーは、
そこに至るまでの足跡を感じさせて大きな感動を誘った。

"ちはやふる"においては、最初の2巻で描いていた小学生編が非常に活きている。
連載当時はそこまで考えてもいなかっただろうが、
幼い頃のエピソードをある程度ボリュームで
これが、連載における「種を蒔く」行為ということだ。

そういった意味では太一の成長ストーリーも蒔いた種あってこそ。
団体戦でスターとなった彼が、またもや勝利を手にしようかというところで千早の余計なおせっかいが。
ここを乗り越えることが出来れば、一皮向けることが出来そうだが果たして———。
by taku_yoshioka | 2012-03-26 00:34 | comic

Ok, it's the stylish century


by takuyoshioka