瞬と瞬の間に広がるあいまいではっきりした映像(TATOOあり/NUMBER GIRL)

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■Disc 1:NUMBER GIRLを映像で思い出す

結成後間もない時期の貴重なLIVE映像から始まるこのDiscでは、
バンドの成長と周囲の盛り上がり、そして解散までの様子を一気に観ることが出来る。
最初の数年のLIVEでは、場数を踏むごとに着実にレベルが上がっているのが
当時の家庭用ビデオの粗い映像でも目に見えてわかるほどで、驚くととも溜息。

オフショットやLIVE中のMCからは、向井秀徳の奇妙なコミュニケーション能力の高さが垣間見る。
ディスコミュニケーションを一つの大きなテーマとして楽曲を作ってきた彼だが、
「客いじり」から居酒屋に居合わせた老人との会話、
また、アメリカでのレコーディング/ツアー中に見せた妙に伝わる英語に至るまで、
いわゆる外交的というのとは違ったレベルで打ち解けていく様が面白い。
(ダイブした観客の足がマイクに当たって演奏が止まり一瞬険悪になりかけた際、
その場の空気を察知し機転をきかせて笑いに変えたのは見事だと思った。)

その他にもTV出演の様子や変則アコースティックセットで披露される"TOKYO FREEZE"、
穏やかな中にも異様な緊張感が走る録音風景など、
LIVEや音源以外の部分からNUMBER GIRLの足跡を辿ることができるレア映像がたっぷり。
解散後の過去の遺産の整理と言ってしまうには豪華すぎる内容だ。

日本各地での異様ともいえる狂熱と、ロックフェスティバルなどへの参加を経て、
まさに絶頂を迎える中での突然の解散発表。
わずか2時間弱の間に、短く太く光を放ったバンドの「一生」を追体験したことで、
気がつくとこちらの精神も若干磨滅するような一枚だった。

忘れてはいけないのが、副音声に収録された向井秀徳による解説。
東芝EMIの担当者や、高校の同級生も交えての砕けた雰囲気の中で語られる裏話は、
油断しているとポロっと大事なことを言っていたりするのでお聞き逃しなく。
(もちろん、こちらもビールを開けながら「参加」してしまうのもまた正解。)


■Disc 2:全てのVIDEO CLIPS

手描きの漫画もあればスタジオライブもあり、さらにはVシネマを思わせるような
ストーリー仕立ての作品もあったりと、多様な作風のPVはいずれも向井ワールド全開。
Disc 1の途中でもしばしば挿入されていたが、
「新日本現代映画」の特色の一つであるゴシックの無骨なテロップは妙にキマる。

アテブリがしっくり来ずPV用に録り直したという"ZEGEN VS UNDERCOVER"は、
一発録りの緊張感と、生の臨場感が余すところ無く封じ込められ、再録も納得の出来に。


■Disc 2:LIVE 京都大学西部講堂 2002年11月22日

解散を間近に控えた2002年11月22日、京都大学西部講堂にて行われたLIVEを収録。
喋りすぎてしまうのを避けるかのようにMCは少なく(編集によるところも大きいのかもしれないが)、
ソリッドでドライな印象と集中力の高さが際立つ。

そんな中、向井秀徳が途中で突然用を足しにステージ裏に消える場面があるのだが、
戻ってきて何も言わずビールを一口含み"センチメンタル過剰"のイントロを弾き始めると、
カウントも合図も無くとも全員が阿吽の呼吸で演奏再開(もちろん最高の音で)。
時間にして数秒のシーンだが、ここにはNUMBER GIRLの歴史が詰まっていたように思う。

先に書いたDisc 1のドキュメンタリー鑑賞後にこのLIVEを観ると、
NUMBER GIRLというバンドのバックにある「物語」を知ってしまっているせいで、
変に感傷的になりながら各メンバーの一挙手一投足を追ってしまうのは避けられない。
しかし、ここは素直にセンチメンタルになるのが正解としておきたい。
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by taku_yoshioka | 2012-01-19 23:59 | music

Ok, it's the stylish century


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