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走ることに慣れた 速さで息をする 見渡す街並み(かつて..。/EGO-WRAPPIN')

走ることに慣れた 速さで息をする 見渡す街並み(かつて..。/EGO-WRAPPIN\') _e0191371_003518.jpg

東京キネマ倶楽部で毎年年末に開催されている恒例の公演、Midnight Dejavu。
その第1回となった2001年から2005年までの5年分のLIVE映像の中から、
選りすぐりのパフォーマンスをコンパイルした、
言わばMidnight Dejavu公演のベスト盤的な映像作品、にも見えるこの作品。

が、しかし「LIVEのDVD」として期待すると若干の肩透かしを食らい、
ともすると期待はずれだとすら感じてしまうかもしれない。

"遠くはなれて子守唄"の冒頭部分の引用も交えた
中納良恵のポエトリー・リーディングから始まる本作品は、
タイトルにもわざわざ「at 東京キネマ倶楽部」と銘打っているように、
EGO-WRAPPIN'とキネマ倶楽部にまつわる思いやエピソードを織り込んだ、
ある種の記録映像的な意味合いが強い一枚だからだ。

各曲の間には、インタビュー形式で語られるエピソードが挿入。
バンドメンバーに始まり、その時々の公演を彩ったサポートメンバー、
さらには会場前のフロアを盛り上げたDJ陣や縁の深いアーティスト、
加えて鶯谷の住人(や猫)にキネマ倶楽部の常連ベテランなど、
様々な人々が東京キネマ倶楽部やEGO-WRAPPIN'について話している。

この話自体なかなか面白いし、貴重なものでもあるので、
作品として残したこと自体は凄く意味があると思う。
ただ、出したタイミングと状況が悪かったことが、
この作品のいま一つな評価に繋がっているのは間違いない。
それまでLIVE映像作品をリリースしてこなかったEGO-WRAPPIN'にとって、
初のLIVE DVDということで過度に期待されてしまったりしたのは結果的に少し損だった。
(後の10周年記念のDVD発表時に、本人達も自嘲気味に話してもいた。)

で、何が言いたいかというと、「LIVEのDVD」としての先入観を持たずに、
「LIVEの映像をたっぷり使ったドキュメンタリー」として鑑賞すれば、
そのクオリティーは十分満足に足るものだ、ということ。

先述の通り、曲間にはインタビューが挟まっているので、
LIVEに没入して観るということは残念ながら難しい。
一方で、5年分の公演からセレクトしているだけあって、
各曲のパフォーマンスは粒揃い。
大きな成長期にあった彼らの、脂の乗った演奏を堪能することが出来る。

初めてEGO-WRAPPIN'のLIVE(や映像)を観るという人にはオススメできないが、
すでに観たことがある人(特に東京キネマ倶楽部で)にとっては、
少し裏側が見られることも含めて楽しめる作品。
by taku_yoshioka | 2011-12-15 00:01 | music

Ok, it's the stylish century


by takuyoshioka