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I wanted you but you didn't want me(Mother/John Lennon)

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若き日のジョン・レノンを綴った青春映画。

物語は、ビートルズファンなら誰でも、そうでない多くの人もピンと来る、
世界で一番短くてキャッチーなイントロを思い出させるギターの音とともに幕を明ける。
(いきなり余談だけど、たった一つでこれから何が始まるかを感じさせる、
ここまで記号化されながらも愛されている「音」はなかなかないと思う。)

とは言っても、これはあくまでもジョン・レノンのストーリー。
ストロベリー・フィールズを画面内によぎらせつつも、
ビートルズの「ビ」の字も出ないまま、描き出していくのは彼の学生時代。

多少は知っていたこととは言え、
若い頃のジョン・レノンの「健全な」不良少年っぷりは、
晩年の印象がどうしても強い自分には新鮮で驚きがある。
ポルノ雑誌を読みバスの天井に乗り万引きをするジョンには
「平和人」としての姿も影もみじんもなく、
代わりにあるのはいかにもなヨーロッパの青年の姿だ。

そう、この作品は少なからず「いかにも」な映画だった。
英国不良少年が思春期に感じる孤独を描いた作品です、
と言い切ってしまうのは乱暴ではあるけれど、収まってもしまう。
それくらい青春ドラマとして良くも悪くもちゃんとしている印象。

少し踏み込んだことを言うと、
ジョンの抱えていた孤独は計り知れない程大きなもので、
彼にとっては自分だけに突きつけられた「現実」だった。
けれど、それを映画にしてしまうと、
途端にありふれた不幸にもなってしまうのが難しいなと。
だから、いかにジョン・レノンという人間にのめり込めるか、
シンパシーを覚えられるか、もっと単純なところでは
彼を好きになれるかどうかが、その人にとってのこの作品の評価を左右しそう。

そして、本筋やテーマとはズレるものの、
やっぱり楽しいビートルズにまつわる部分についても少し。
まず、とにかくポールの描かれ方がとても良かった。
そもそもジョンとのコントラストが凄くわかりやすいし。
また、ビートルズの「ビ」の字も出ないまま、と冒頭で書いたけれど、
最後の最後でその名前が出そうになる。けれど、口には出さない。
それが細かい部分ながらも、すごく良い気遣いだと思った
(そこを出してしまうと、一気に「ビートルズ・ムービー」になってしまうから)。

というような諸々を総合して、点数をつけるなら70点と言ったところかな。
(作品自体の出来60点+ビートルズファン、ジョン・レノンファンなら楽しめる部分10点)。
by taku_yoshioka | 2010-11-08 00:18 | movie

Ok, it's the stylish century


by takuyoshioka