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長編も描ければ短編も描ける漫画家というのは、
ホームランも打てればエンドランも出来るバッター
みたいなものだろうか。

"タッチ"に"みゆき"、"H2"といった数々の長編で
日本漫画史に足跡を残しているあだち充の短編集。
これがなかなか面白い。

まず、一話一話の展開がクラシカルながら良くできている。
しっかり序盤で伏線を張って、上手くオチにして回収し、
予想を裏切りながら起承転結をつける。
作家として当然といえばそうなのかもしれないが、
その当然のことが出来ていない作品が多い世の中では
こういった全うな作品はとりわけ光るもの。
各話の切なさや胸キュンのピークもオチのところにきてるし、
普通に読むには十分すぎる完成度です
(逆に言えば、ストレートだから深読みはあまり意味ない)。

そして、以上のような話のフレームがしっかり出来ているところに、
流し込んだエッセンスはいつも通りのあだち充の青春成分満載、
…だけでなくプラスアルファもあったりする。流石だ。

"テイク・オフ"と"プラス1"が特に好みの作品でした。
"むらさき"の、ちょっと抜けた子が報われるって展開も好き
(いかにも少女漫画だけどね)。

あだち充の底力が別の方向から見えた一冊でした。
by taku_yoshioka | 2010-10-15 01:13 | comic

Ok, it's the stylish century


by takuyoshioka