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youthful days

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"けいおん!"レビュー第3回。
前回よりはまとまっているはず。

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・主人公不在
平沢唯に主人公としての資質が感じられない。
これはあまりアニメを観ていないからこそ感じることなのかも。
ただ、別に天然系のドジっ子だからという訳ではなく、
平沢唯の起こす行動には意図や意思があまり伴わないから
そういう印象が残っているような気がする。
これを換言すれば、それほど軽音部とそれを取り巻くもの全てを描いたのが
"けいおん!"の作品の見せ方ということかと
(こうすることで、どの登場人物にもスポットライトを当てられる作りになる)。


・「主観」の変化
主人公の不在という状況を少し見方を変えてみると、
視点が移り変わりながら各話が構成される作品とも言える。
最初と最後はさすがに平沢唯視点で描かれるものの、
秋山澪から見た軽音部とそれに対する距離感だったり、
平沢憂の目から見た外部の人間の感じ方もあり、
中野梓がかつての秋山澪と同様の葛藤をするという部分もある。
こうなったときに、平沢唯と田井中律のドタバタ劇は
結構「他人事」として描かれていたものだから、
余計に平沢唯が主役ではないような感覚が残ったのだと思う。


・何も起きない
1シリーズ全12話の中に、驚くほど山場が少ない。
特に第4話くらいまでは大きな進展もアクシデントも無く、
ただただ日々のよしなしごとをおもしろ可笑しく、そしてゆるく綴るのみ。


・現代版"サザエさん"風
以上のような要素を総括すると、"サザエさん"に似ているような気も。
原作が四コマ漫画だというところもそうだし、
タイトルこそ"サザエさん"でありながら別にサザエだけにフォーカスする訳ではなく、
磯野家とその周辺で起こるちょっとした出来事を描いている。
となると、多くの人に受け入れられるのは当然。
また"クレヨンしんちゃん"のドタバタ感もある気もする。


・しかし"サザエさん"そのものではない
そんなの当たり前だろう、というところですが、
ようするに"けいおん!"には時間の流れがしっかりと存在しているということ。
しかも、そのスピードは結構速くて、作中での1年は7話で終わってしまう。
「サザエさん時空」という言葉が存在するくらいだから、
永遠の○○歳を生き続けるのは"サザエさん"の大きな特徴であって、
国民的アニメとなるに至った安心感の基礎ともいえる。
そういう意味では、根本的に"けいおん!"と"サザエさん"は違うのだ(どっちだよ)。


・青春のキラメキ
それでは、時間の流れを有効にしたことでもたらされたものとは何か。
これは、一言で言えば「青春」だと思う。
この上なくキラめいていて、その一方で永遠には続くことは無く、
最高の笑顔の後には少しの寂しさが残るような時間。
その大切さと切なさが"けいおん!"ではしっかりと描かれている。
それ故、単なる緩いだけのアニメには落ち着いていないのでしょう。

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次回で最後(の予定)。
by taku_yoshioka | 2010-06-16 01:19

Ok, it's the stylish century


by takuyoshioka