
ついにiPadコンテンツにAKAIのMPCシリーズが参戦。
おなじみの16個のパッドを内蔵したケースと、
専用アプリの2段構えでの構成となっている。
使用動画を見た限りでは、シーケンスを組むという点においては流石のわかりやすさ。
従来の主流であった液晶ディスプレイとは比べ物にならない。
気になるのは、サンプリング機能がどの程度のレベルなのか。
このあたりは発売後ユーザーの意見を是非聴いてみたい。
と、主に中身について記してきたが、
このアイテムはケースも含めたフォルムが何より最高。
たとえ機能面での制限はあったとしても、
持ち歩いて自慢するためだけに買っても良い出来。

主人公である七嶋裕之は、トクさんから1000万円を預かった際に本当の本気というものを学び、
自分の身を削ってでも甲子園に出場することを決意した。
それは、いかなる手段を使ってでも甲子園大会に出場するということなのだが、
「いかなる手段」とは言いつつもあくまでも選択肢の一つが金なのであって、
その使い方やその他の部分についての創意工夫があってこその1000万であることは間違いない。
(第一、お金だけで甲子園に行こうと考えた場合、1000万でさえもはした金だ。)
そういう意味では、21世紀枠での選出を目論むというアイデアは、
公立高校が甲子園に出場するという目標を達成しようとした場合に、かなりいいところをついている。
高校野球を題材にした漫画ならば、普通は正面からライバルたちとぶつかり、
勝ち抜いて勝ち抜いて夏の甲子園に出るドラマ性を前面に押し出すだろう。
しかし"砂の栄冠"ではあっさりと別ルートを選んだ。
これが、七嶋裕之の言うところの「本気」という訳だ。
出場方法は問題ではなく、求めるのは甲子園出場という結果を手に入れること。
そのためには、夏の大会の正面突破に拘る理由など何一つない。
また、エスカレートしつつある七嶋裕之のスーパー高校生ぶりは恐ろしい程で、
野球選手としての能力もさることながら、頭のキレ方が狂気の域。
流れを読み、試合を演出し、その通りにやってのけるもんだからたまらない。
作中での表現を受け、球場がステージだとすれば、まさに独り舞台と言える。

「このマンガがすごい!2012」の男部門1位受賞。
タイトルに"ブラック・ジャック"と入ってはいるが、同作品に限らずに
手塚治虫とそれを取り巻く人々にまつわる様々な逸話を漫画化した伝記的な趣の作品。
狂熱とも言える一連のエピソードを、その熱さに負けない熱の込められた筆致で描く。
歴史の現場に居合わせた当事者の口から過酷さとともに語られ、
本作中でも印象的に描かれているのは、手塚治虫の笑顔。
このあたりが「神様」と呼ばれる所以の一つなのだろう。
そして、手塚治虫本人だけでなく、登場する周辺の人々も濃い人物揃い。
寺沢武一や石坂啓といった後に一流漫画家となったアシスタントから、
チャンピオンの名物編集長であった「カベさん」こと壁村耐三まで、
まさしく漫画のような登場人物が各話を彩っている。
さて、改めて本作の体裁について触れると、
関係者の体験談をベースにしつつ構成されるTVドキュメンタリー的な構成をしている。
これを、キャラクターとエピソードの強烈さを原作にした作品においても、
死して尚1位をとって(とらせて)しまうとは流石手塚治虫だ、とするべきか。
それとも、オリジナルのストーリーの作品の中には
本作に比肩し得るレベルのものが存在しなかったという、
2011年のクリエイティヴィティの先細りを憂慮するべきか。
このあたりは人によって評価が分かれるところかもしれない。
ともあれ、手塚治虫を知るという意味では非常によくまとまった作品なのは間違いなく、
手塚治虫の名前やキャラクターしか知らない人から、
作品を読み込んでいて裏話を知りたい人まで、幅広く楽しめる一作。

甲子園に行くには甲子園を知れ、甲子園を知るには甲子園を観ろ、ということで、
新チームのキャプテン七嶋裕之は、部活の連休を利用して甲子園へ。
この旅費として、件の1000万円に初めて手をつけることになる。
その甲子園において最も強烈なインパクトを残すのは、
主人公の彼ではなく、甲子園バックネット裏に陣取る「常連組」だ。
甲子園大会をある程度TV観戦したことのある者であれば
誰でも気になったことがあるであろう彼(女)らは、
本当に毎日同じような格好をして同じような席にいる。
その正体に迫りつつ、彼らを狂言回しにして、
甲子園大会の「種明かし」をしていこうというのがこの巻のポイント。
彼らによって語られる、科学的/統計的な裏打ちとは一味違う甲子園ならではのコモンセンスは、
そのどれもが納得できるであるものだとは言いがたいものの、
一方で「そうなのかもしれない」と思わされる話が多いのもまた事実だ。
この球場には魔物が棲むと言われるのも頷ける。
こうして、甲子園出場に向けて気持ちと知識を高めた七嶋は
「完璧なキャプテン」を演じつつ樫高を率いて秋季大会に臨む。
チームを育てながら勝利するという難題をクリアする彼だったが、
その内面で広がり始めた邪悪な心はすでに止められない領域に。

■Disc 1:NUMBER GIRLを映像で思い出す
結成後間もない時期の貴重なLIVE映像から始まるこのDiscでは、
バンドの成長と周囲の盛り上がり、そして解散までの様子を一気に観ることが出来る。
最初の数年のLIVEでは、場数を踏むごとに着実にレベルが上がっているのが
当時の家庭用ビデオの粗い映像でも目に見えてわかるほどで、驚くととも溜息。
オフショットやLIVE中のMCからは、向井秀徳の奇妙なコミュニケーション能力の高さが垣間見る。
ディスコミュニケーションを一つの大きなテーマとして楽曲を作ってきた彼だが、
「客いじり」から居酒屋に居合わせた老人との会話、
また、アメリカでのレコーディング/ツアー中に見せた妙に伝わる英語に至るまで、
いわゆる外交的というのとは違ったレベルで打ち解けていく様が面白い。
(ダイブした観客の足がマイクに当たって演奏が止まり一瞬険悪になりかけた際、
その場の空気を察知し機転をきかせて笑いに変えたのは見事だと思った。)
その他にもTV出演の様子や変則アコースティックセットで披露される"TOKYO FREEZE"、
穏やかな中にも異様な緊張感が走る録音風景など、
LIVEや音源以外の部分からNUMBER GIRLの足跡を辿ることができるレア映像がたっぷり。
解散後の過去の遺産の整理と言ってしまうには豪華すぎる内容だ。
日本各地での異様ともいえる狂熱と、ロックフェスティバルなどへの参加を経て、
まさに絶頂を迎える中での突然の解散発表。
わずか2時間弱の間に、短く太く光を放ったバンドの「一生」を追体験したことで、
気がつくとこちらの精神も若干磨滅するような一枚だった。
忘れてはいけないのが、副音声に収録された向井秀徳による解説。
東芝EMIの担当者や、高校の同級生も交えての砕けた雰囲気の中で語られる裏話は、
油断しているとポロっと大事なことを言っていたりするのでお聞き逃しなく。
(もちろん、こちらもビールを開けながら「参加」してしまうのもまた正解。)
■Disc 2:全てのVIDEO CLIPS
手描きの漫画もあればスタジオライブもあり、さらにはVシネマを思わせるような
ストーリー仕立ての作品もあったりと、多様な作風のPVはいずれも向井ワールド全開。
Disc 1の途中でもしばしば挿入されていたが、
「新日本現代映画」の特色の一つであるゴシックの無骨なテロップは妙にキマる。
アテブリがしっくり来ずPV用に録り直したという"ZEGEN VS UNDERCOVER"は、
一発録りの緊張感と、生の臨場感が余すところ無く封じ込められ、再録も納得の出来に。
■Disc 2:LIVE 京都大学西部講堂 2002年11月22日
解散を間近に控えた2002年11月22日、京都大学西部講堂にて行われたLIVEを収録。
喋りすぎてしまうのを避けるかのようにMCは少なく(編集によるところも大きいのかもしれないが)、
ソリッドでドライな印象と集中力の高さが際立つ。
そんな中、向井秀徳が途中で突然用を足しにステージ裏に消える場面があるのだが、
戻ってきて何も言わずビールを一口含み"センチメンタル過剰"のイントロを弾き始めると、
カウントも合図も無くとも全員が阿吽の呼吸で演奏再開(もちろん最高の音で)。
時間にして数秒のシーンだが、ここにはNUMBER GIRLの歴史が詰まっていたように思う。
先に書いたDisc 1のドキュメンタリー鑑賞後にこのLIVEを観ると、
NUMBER GIRLというバンドのバックにある「物語」を知ってしまっているせいで、
変に感傷的になりながら各メンバーの一挙手一投足を追ってしまうのは避けられない。
しかし、ここは素直にセンチメンタルになるのが正解としておきたい。
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